NHKの”美の壺”で「セーター」を取り上げたことがあります。
伝統的なセーターというと、すぐ登場するのがイギリスのセーター。代表的なのが、アランセーター、ガーンジーセーター、そして編みこみで有名なフェアアイルセーターです。
”美の壺”で紹介されたイギリスのセーターたちは、やはり「工芸品」なのでしょうか?
目次
イギリスの伝統的なセーターたち
アランセーターはアラン諸島の漁師のために家族が編んだという歴史があり、紋章のように柄も家によって変えてあるので、遭難したときは柄を見ればわかる、というような話をかつて聞いたことがあります。
ガーンジーセーターも、裏編みと表編みの組み合わせなので、模様の創作はいくらでもできそうな気がします。
ただ、漁に出る夫や父親のために編む手編みのセーターは、暖かく、さらに着やすさも追求しているところが、わきの下のマチ部分などに現れていますね。
フェアアイルセーター
フェアアイルのセーターというと、多色編みこみのセーターの総称のような感じに使われています。もともとは、イギリスのシェットランド諸島の中の「フェア島」が発祥と言われています。
気仙沼ニッティングのオーダーメイドセーター
番組の中では、2012年に立ち上げた”気仙沼ニッティング”の現場も紹介していました。
”気仙沼ニッティング”については、こちらに詳しく書きました。ご参考までに。
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「気仙沼ニッティング物語」という技術本ではない編み物の本を読んで感じたこと
番組の中で、身長が190㎝以上もある男性のカーディガンが完成しご本人に手渡すところが紹介されていました。たしかに身長の高い人は腕の長さが違うので、裄のたっぷりあるセーターを既製品で求めるのは難しいと思います。
さすがにフルオーダーだと感じたのは、それぞれ編んだ人の顔のイラストがタグに印刷されていること。
製作者の顔が見られるということは既製品では考えられないことで、長く愛され、着つづけられるのだろうなとうらやましいような思いがしました。
代表的な毛糸の種類とは?
番組では、代表的な毛糸の種類として3つ取り上げていました。
メリノウール
汗を吸収・発汗する機能に優れ、保温効果があり伸縮性にも富んでいます。
上質でありながら、とても扱いやすい糸で個人的にとても好きな毛糸です。
アルパカ
ときどき動物番組に登場することが多くなって今では認知度の高い動物ですが、以前は生地や毛糸の売り場でしかお目にかかれない名前でした。
アルパカはラクダの一種なのですね。アンデス山脈の高地に生息しています。
アルパカも以前から好きな素材で、アルパカのセーターやカーディガンを何枚か作ったことがあります。
最近はカラフルな色もあるようですが、個人的には”アルパカ色”が好きです。
原毛のままでも20種類くらいの色があるということで、この茶系・グレー系の色で編み込みをするのが好きでした。
カシミア
カシミアはカシミア山羊から取れる獣毛です。
繊維が長く、柔らかく軽い。吸湿性に優れ、光沢もあり、なにより独特の風合いが、肌触りの良さとして長く愛されてきました。
番組では、カシミアの手入れ方法を紹介しています。
カシミアの風合いを保つためには、スチームアイロンをセーターの内側から当ててあげること。こうすることで、毛足が立ってくるのだそうです。
上手に手入れをすることで、着こむほどに適度に柔らかさが増してきて、経年変化も楽しめます。ぜひ、お試しを!
毛糸の再生方法
生地と違って、毛糸は編み直しがききます。
昔の人はよく、毛糸をほどいて枷(かせ)にもどしてから湯を通し(簡単に洗う)、枷くり器にかけて玉に巻き直してから編みました。
私は覚えていませんが、「湯のし器」というものがあったそうですね。
やかんの口に取り付ける簡単な器具で、やかんで沸かした湯気が編みほどいた毛糸のシワシワを良い加減に伸ばしてくれるのです。
もし、今でもあるなら欲しいくらいです!
まとめ
セーターを着ると、なぜかリラックスしますよね。
ほどよいリラックス感で、それはジャージー類を着るときのくだけ方とは違います。
自然な伸縮でからだに寄り添って、暖かい。
特に手編みの暖かさは、中に含まれる空気が暖まるため。
伝統的なイギリスのセーターはすべて手編みですね。
久しぶりにアラン模様を編んでみたくなりました。